失敗事例に学ぶ
賢い不動産投資経営戦略
全5章
ローリスクでロングリターンの不動産投資とは、よく言われますが、必ずしも、全てのオーナーが成功しているわけではありません。数百~数千万円の融資をうけて始める不動産投資であれば、必要以上に、事前の確認、リスクヘッジをすることが大切です。ここでは、過去に起きた失敗事例を参考までにご紹介いたします。不動産経営で皆様がハッピーになれることを願っております。
長期空室による失敗事例
やはり不動産経営にとって、空室は最大のリスクです。入居者がいなければ賃料は入ってこなくなり、空室が長引けば赤字経営の危険もでてきます。2、3ヵ月はまだ平常心でいられても、半年も空室が続けば気が気ではありません。さらに怖いことに、空室というのは長くなるほど、空室が空室を呼ぶ負のスパイラルに陥っていきます。
例えば、空室が一定期間続いた部屋では、水道を使わないため下水臭がしてくることがあるのです。また、退去時にクリーニングをしていても、時間の経過とともにホコリがたまって、実際以上に古びた部屋に見えてしまうのです。これだけでも内覧時の印象は著しく悪くなってしまいます。
内覧希望は多いのに、なかなか入居が決まらない状態が続いていましたが、今思えば、結果的に近隣の新築物件を決めていただくための比較部屋として扱われてしまっていたようです。こうなると、家賃を下げても入居がなかなか決まりません。
長期空室が発生してしまった場合は、こまめに掃除を行うよう徹底し、悪臭はしていないかチェックをしてみてください。空室が続いた部屋では特有の下水臭がすることがありますが、これは排水トラップの水が蒸発して水の蓋がない状態となるのが原因です。排水口にこまめに水を流してあげるだけで防げます。加えて電気を通電の状態にしておいたり、玄関先にスリッパを準備するなど、ちょっとした気配りを徹底していくことで、内覧に来た方にプラスの印象を残すことが大切です。いかに快適に部屋を見学してもらうかを追求することが、空室対策につながってきます。
また、空室を発生させないためには、何といっても「管理」が大切です。日常の管理業務において入居者満足度が低いと退去率が高まり、更新してもらえる確率は低くなります。管理会社に入居者管理を委託している場合は、あらためて、クレーム対応・設備故障対応などのサービスの流れを確認してみましょう。誠実に対応してくれるパートナー(管理会社)と組むことも、空室リスクを抑える重要な要素といえます。
とはいえ、不動産経営は、まずは空室を出さない物件でスタートすることが肝心。これから不動産経営をはじめる、これから物件を決めるという方ならば、まずその不動産が長期に渡り入居者を確保できる物件かどうかを十分に見極めましょう。入居者ニーズの絶対数が多い立地(商業施設・学校・企業が多い都心)であれば、空室のリスクはぐっと抑えられます。
家賃滞納による失敗事例
入居者の中に家賃滞納が発生したことがあります。これは、ある意味では長期空室以上に深刻な問題だと思います。1ヵ月分の家賃が遅れるだけで済めばよいのですが、2ヵ月3ヵ月分となるようであれば致命的。滞納者は1ヵ月分の家賃が払えない状況なのですから、それ以上の家賃を回収するのは非常に困難になってきます。
ちなみに、弁護士に相談する方法もあるとは思いますが、滞納がかさむうえに、当然ながら弁護士費用が必要になってきます。さらに、訴訟を起こして勝訴したとしても、滞納した家賃が全額返金される保証など何処にもないのです。
家賃滞納を出さないための対策として有効な方法は、一定の入居基準を設けて、しっかり入居審査を行うことです。とはいえ、審査基準を厳しく、高く設定し過ぎるのも問題です。あまり厳しい基準を設定してしまうと、入居希望者や仲介不動産会社に敬遠されてしまいます。入居審査に対しての柔軟性は持たせながらも、「賃貸保証会社の利用を必須とする」「収入証明書の提出を必須とする」など、絶対に曲げない基準を、いくつか用意しておくとよいでしょう。
それでも、家賃滞納が発生してしまった場合は、毅然とした対応で遅滞なく督促することが大切です。1日でも家賃の支払いが遅れると直ぐに督促されるということを強く意識させることで、将来の悪質な滞納者を確実に減らすことができます。こうした対応は、入居者自身のためでもあります。また、管理会社と正式に集金代行契約や賃貸管理契約を締結しているにも関わらず、督促対応や滞納の報告が遅かったり、連絡自体がないなどの場合は、管理会社にきちんとした説明と、滞納者への毅然とした対応を求めましょう。さらに、サブリース(一括借り上げ)や家賃滞納保証などを行っている管理会社との契約も対策の一つです。
資産価値低下による失敗事例
「現金が必要になったときは売却すればいい」という思いで不動産経営をはじめましたが、いざ現金が必要になったとき、なかなか買い手がつかなくて非常に苦労しました。その上、売却価格も新築分譲時の価格の60%以下。「そんな金額でないと売却できなかったのか…」と、今でも後悔が残っています。
不動産投資は長期の投資であるのは間違いありません。とりわけローンを組んで物件を購入する不動産経営は、長期計画で資産をつくっていくというのがプランの前提となっているはずです。不動産経営を始める際には、そのことを頭に入れてスタートすべきでしょう。しかし、投資としての損益が確定するのは物件を売却したときに他なりません。購入しようと考える物件が、中古物件として売却される場合、おおよそいくらで売却できるのかを把握しておくことは大事なことでもあります。また、売却のタイミングに際しては、経済情勢、賃貸需要の動向、不動産価格の動向などを図ることが対策の一つとなります。
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- 第4・5章
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